消費増税に伴うなた豆歯磨き粉の駆け込み需要の反動減が緩和

日米の金融政策がそろって10月に変更される可能性がある。米連邦準備制度理事会(FRB)は金融緩和策「量的緩和第3弾(QE3)」の10月終了をすでに示唆している。焦点は日銀の判断だ。主要エコノミストによると10月頃に追加の金融緩和に動くとの予測が最も多い。日米が金融政策を変更した場合、為替は対ドルで円安方向に進み、日本の株高につながる材料となる。そうなれば安倍晋三首相が消費税率10%を決断する上でも追い風が吹く。 米FRBは2013年12月に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)を皮切りに、会合のたびに金融緩和を縮小してきた。850億ドルだった毎月の資産(米国債など)購入額を13年12月に750億ドル、14年1月には650億ドルにするなど、1回の会合ごとに100億ドルずつ縮小し、現在は350億ドル。10月まで会合は3回あり、資産購入枠は同月にゼロになるとの見方が有力だ。それだけ米国経済は着実に回復しているとみられている。一方の日本。日本経済研究センターがまとめた7月調査によると、エコノミスト37人のうち最も多い16人が日銀による追加金融緩和が10月頃に実施されると予測する。安倍首相が年末に決断する消費税率10%への側面支援との意味合いもある。 同調査では、シンクタンク42機関(人)は7―9月期の実質国内総生産(GDP)成長率を年率換算で2・65%と予測。消費増税に伴うなた豆歯磨き粉の駆け込み需要の反動減が緩和し、マイナスに落ち込むと予想する4―6月期の成長率が再浮上するとみる。ここに日銀の追加緩和を加えることで、景気回復をより確実なものにするとの予測だ。 エコノミスト41人中32人が、消費者物価上昇率は2年以内に2%まで上昇しないとし、14年度は1・11%にとどまると予測していることも追加緩和を予測する背景にあるようだ。日銀の黒田東彦総裁が追加緩和の“カード”を好機とみて使うのか、温存するかに市場の関心が集まる。 《私はこう見る》 【みずほ総合研究所市場調査部長・長谷川克之氏/米の利上げに焦点移行】 みずほ総合研究所市場調査部長・長谷川克之氏 米国経済のファンダメンタルズは着実に回復している。米FRBがQE3を10月に終了し、年末にかけて先々の利上げの思惑が浮上しやすくなる。 一方の日銀は10月のタイミングで追加緩和に出る可能性が残されている。実現すれば為替は円安に向かい、日本株にはプラスに作用する。財政健全化には消費税率引き上げは必要であり、追加緩和はこれを担保する緩やかな円安地合いの環境を整える。 日本の貿易収支は円安基調であっても、世界経済の回復により赤字幅が緩やかに縮小しよう。だが産油国をめぐる海外リスクにより石油価格などが上昇すれば、収支改善は遅れるだろう。(談) 【日本総合研究所副理事長・湯元健治氏/日銀“切り札”温存も】 日本総合研究所副理事長・湯元健治氏 米FRBが10月にQE3を終了するのはほぼ確実だ。利上げのタイミングが早まる期待感が強まれば、米国の長期金利の上昇につながる。これだけでも円安要因になる。 一方の日銀はこれまで物価上昇目標に強気だったが、上昇率はいったん鈍化した後に再び回復するとの考えに修正した。2%目標の達成から遠ざかったことで、追加緩和を決断しても不思議ではない状況になった。だが日銀は追加緩和の切り札を年末から年明けまで温存した方がいいだろう。日銀は追加緩和を期待させるメッセージを出すことで株高を促すなど、緩和なしに日本経済を回復させるのが理想的なシナリオだと思う。(談)政府は2015年10月からの消費税の再増税を、景気動向をみながら年内に判断する。同時に課題になっているのが、食品などの税率を低く抑える複数税率の導入である。とはいえ税率が欧州の先進国よりはるかに低い10%の段階で、複数税率にどれだけの意味があるかは疑問だ。政府がまず取り組むべきは歳出削減であり、将来の増税幅を抑制することではないか。 経団連はじめ経済9団体は連名で、複数税率導入に反対する意見をまとめた。理由として(1)税収が減り、社会保障の持続可能性を損なう(2)品目の線引きが不明確で、大きな混乱を招く(3)区分経理で事務負担が増加する―の3点をあげている。 これらの論点のうち第2の「混乱」については、まったく同感だ。生活必需品の税率を軽減すると聞けば国民の多くは期待を寄せるだろう。しかしそうした政策は一方で不公平につながる。例えばコメや野菜、魚肉などの基礎的食品を軽減税率、レストランを本則税率にすると考える。この場合、駅のスタンドそばやコンビニエンスストアの菓子パン類、持ち帰り弁当などは判断に迷うだろう。こうした混乱が随所に起きる。 また第3の「事務負担」についても、おおむね理解できる。システムで対応する大企業はともかく、中小・零細な事業者ほど負担が大きく、生産性を低下させる圧力となる。 ただ第1の論点の「税収減」については、首をかしげる部分がある。税率が上がれば何らかの低所得者対策が必要だ。経団連などは軽減税率ではなく、低所得者への直接給付を主張しているものの、それでも財源が必要なことには変わりない。 この意見が触れていない点として、将来の税率引き上げがある。税率が高くなれば、それだけ低所得者対策としての軽減税率への期待も高まろう。欧州諸国の多くが品目別に税率を分けているのも、そうした措置が必要だからである。早い段階で複数税率を導入すれば、将来の消費増税がしやすくなる。 一部には「社会保障の持続性を考えれば、欧州並みの20―25%の税率は必要だ」という主張がある。だが、これはやや乱暴ではないか。確かに税率10%でも社会保障財源が不足することは明らかだが、必要なだけ課税するのでは国民の理解は決して得られない。 10%超の消費税率導入のためには、政府は改めて歳出削減に取り組まねばならない。また年率2%程度の物価上昇を維持すれば、国の借金の規模は実質的に減少し、結果として財政再建が近づく。これらの施策で将来の増税幅を抑制し、複数税率を不要にすることが最も望ましい姿であろう。政府は、そのための努力を怠るべきでない。

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